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使い方を選ばない空間にこれまでにない新鮮な住まいの要素をプラス

東京都港区、白金台の住宅街に建てられた集合住宅「バレ」。都心ではあるが周囲の環境は静かな地域です。細い路地が続くこともあって交通量は少なく、4階建てであるが、この建物を前後から挟む道路にレベル差があるため、共有の建物入口がある前面道路側が2階、駐車場がある背面道路側が地下1階となっています。設計は担当した木下道郎は管理会社であるタカギプランニングオフィスからの依頼を受けて引き受けました。オーナーの住まいが最上階にあるため、賃貸部分は地下1階から3階までの4層。前面道路から見ると地下にあたる地下1階と1階をメゾネットとし、2階と3階をフラットとするプランを選択しています。左右を建物に挟まれているため、開口部は前面と背面にとることになります。ここで階段や廊下をどちらか片方に寄せてしまえば、廊下側に設けられた窓はほとんど開けることがない「死んだ窓」になってしまうので、そのため、木下氏は階段ならびにエレベーター室を建物ほぼ中央に配し、四隅それぞれに各部屋が来るようにしました。

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さらに全体を「H型」にし、中央の階段ならびにエレベーターブロックの左右を吹き抜けした「ライトコート」を設けることで、四隅に配したそれぞれの部屋で前面、背面からの採光を実現しています。「カーテンで閉じられた窓では意味がないでしょう。実際に機能し、その効果を発揮できなければ」

ライトコートに面した壁面をガラスブロックとすることで外部からの視線を遮り、日中はブラインドを下ろす必要もなく光を導くことができる”バス、トイレ室の仕切りもガラスとすることで、一日中真っ暗な空間ができる要因を廃しています。

もうひとつ特徴的なのは、各部屋の玄関部分に設けられた「土間」「縁側」をイメージさせる「アクセスバルコニー」と木下氏が説明する空間です。中央のエレベーターホールから各部屋へ続く玄関扉を開けばそこには室内ではなく『アクセスバルコニー」が現れます。室内へは、バルコニーから入るかのSように、この空間からガラス戸を引いて入り込むのです。「玄関に面積を取られるのはもったいないし、これまで経験したことのないような空間は、予想外の使われ方をされるのではないでしょうか」と木下氏は説明されます。外から見ただけで、建物内の間取りや、そこに生活する家族像まで容易に想像できる住まいにはしたくない。基本的にワンルームであるのも、空間の使い方を決め付けたくないからです。壁を作ればコストがかかるし、生活する人は家具などを使って自由に仕切ってもらえればいいんです」

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建設家に設計を依頼するということは、周囲に建ち並ぶ一般的な集合住宅とは差をつけたい、とオーナーが考えるからでしょう。ただし、その「差」がなんであるかが、問題です。「メゾネット、ガラスブロック、螺旋階段があればいいというように、色や素材の奇抜さであり、形の珍しさといった表面的な要素だけで、”デザイナーズマンション”と呼ぶことに意味はないでしょう。設計をするということは、ここを選んだ人がそれまでにない豊かな生活を実現できる、ということではないでしょうか」

このような、「生活する上でなが最も重要か」を考えられた集合住宅を選びたいものです。